なぜ野球にフィジカルトレーニングが必要なのか?

平日30分でトレーニングの知識を
アップデートしよう!

BTAでは野球につながるトレーニングの基本的な知識や、トレーニング最新情報を無料でお届けしています。

本質的な内容を体系的にまとめた「BTA式フィジカルトレーニングの教科書」と、今の時期にやるべきメニューなどを配信する「BTAオンライン塾」で、平日のスキマ時間を活用しながら学んでください。

\無料で参加できます/

\登録なしで全て読めます/

目次

はじめに

この章で最初に整理しておきたいのは、「フィジカルトレーニング」という言葉の捉え方です。
多くの場合、フィジカルトレーニング=筋トレ、あるいは重いものを持ち上げること、と理解されがちですが、BTAではそのようには考えていません。フィジカルトレーニングとは、野球という競技を成立させるために必要な「身体の機能」を高めるための取り組み全体を指します。

野球のプレーは、フォームや技術といった「やり方」だけで完結するものではありません。どれだけ正しい動作を理解していても、それを実行できる身体がなければ、プレーとして再現することはできません。ここで重要になるのが、
スキル × フィジカル
という考え方です。

スキルとは、動作の順序、タイミング、フォーム、判断といった「技術的な要素」を指します。一方、フィジカルとは、そのスキルを支える身体の能力、すなわち力を生み出す能力、支える能力、繰り返す能力、そして壊れにくさを含んだ総合的な身体機能です。この二つは足し算ではなく、掛け算の関係にあります。どちらか一方が欠ければ、パフォーマンスは大きく制限されます。

野球の現場では、「技術練習を積み重ねれば、いずれ結果は出る」と考えられることが少なくありません。しかし実際には、一定のレベルを超えた段階で成長が止まってしまう選手が多く存在します。その原因は、努力不足や才能の問題ではなく、スキルを受け止めるためのフィジカルが整っていないことにあるケースが非常に多いのです。

この教科書では、フィジカルトレーニングを「特別なもの」や「一部の選手だけがやるもの」として扱いません。むしろ、野球が上達するための前提条件として、誰にとっても必要な土台として位置づけていきます。
まずは、フィジカルとは何か、そしてなぜスキルと切り離して考えてはいけないのか。その全体像を、この章を通して理解していきましょう。

「技術だけやっていれば上手くなる」は本当か?

多くの野球選手が、成長のためにまず思い浮かべるのが技術練習です。
投げ込みを増やす、打ち込みを増やす、ノックや実戦形式を重ねる。これらは確かに野球において欠かせない要素であり、特に競技を始めた初期段階では、技術練習の量と上達スピードがある程度比例します。

しかし、競技レベルが上がるにつれて、「練習量を増やしているのに結果が変わらない」という状況に直面する選手が増えていきます。具体的には、球速が一定以上伸びなくなる、打球が思うように飛ばなくなる、試合での再現性が安定しない、といった現象が起こります。さらに進むと、ケガの増加や慢性的な不調につながることも少なくありません。

このとき、多くの選手は「フォームが悪いのではないか」「もっと練習量を増やすべきではないか」と、技術の側に原因を求めがちです。しかし実際には、技術そのものが問題なのではなく、その技術を支える身体が限界に達しているケースがほとんどです。

野球の動作は、高い出力と複雑な連動を伴います。投球動作や打撃動作では、下半身から生まれた力を体幹で受け止め、上半身へと伝える必要があります。この一連の流れを成立させるには、十分な筋力、安定性、可動性、そして繰り返し動作に耐えられる身体の余力が求められます。これらが不足している状態では、いくら正しいフォームを意識しても、身体がそれを実行しきれません。

つまり、技術練習によって向上するのは「やり方の精度」であり、その精度を実際のプレーとして発揮できるかどうかは、身体のキャパシティに依存します。技術だけを磨き続けることは、すでに限界に近い身体に対して、さらに負荷をかけ続ける行為でもあります。

「技術だけやっていれば上手くなる」という考え方は、成長のある段階までは通用します。しかし、そこから先に進むためには、身体そのものを引き上げる視点が不可欠です。この事実を理解することが、次の成長段階への入り口になります。

野球のプレーは「フィジカルの表現」

投げる、打つ、走る。
野球を構成するこれらの動作は、一見すると技術の違いによって生まれるものに見えます。しかし、これらの動作を冷静に分解していくと、すべてが身体能力の「表現」であることがわかります。技術とは、身体が持っている能力を、どのような順序で、どの方向に使うかを整理したものに過ぎません。

たとえば投球動作では、下半身で地面を押し、その反力を体幹で受け止め、腕へと伝えます。この一連の動作が成立するためには、地面反力を生み出す力、それを逃さず支える安定性、そして末端へと伝える協調性が必要です。これらの要素のどれか一つでも欠けていれば、フォームをいくら意識しても、思った通りの球は投げられません。

打撃動作でも同様です。強い打球を打つためには、下半身の踏み込み、骨盤と胸郭の回旋、バットを加速させる上半身の連動が必要になります。しかし、体幹が不安定であれば力は途中で分散し、上半身だけで振ろうとすれば再現性は大きく低下します。これは技術の問題ではなく、身体がその動作に耐えられていないというサインです。

ここで重要なのは、「正しいフォームを理解していること」と「そのフォームを再現できること」は別だという点です。頭で理解している動作を、実際に身体で再現するためには、それを可能にするだけのフィジカルが必要になります。力を受け止められない身体では、出力を高めることはできませんし、安定性が不足していれば、動作は毎回ばらつきます。

この関係性を整理すると、
技術は「やり方」
フィジカルは「できるかどうか」
と表現できます。技術はフィジカルの上に成り立つものであり、フィジカルが整って初めて、技術は安定した形で表現されます。

野球のプレーを技術だけの問題として捉えるのではなく、「身体が何を表現しているのか」という視点で見ること。この視点を持つことが、フィジカルトレーニングを単なる補助的な取り組みではなく、競技力向上の中心的な要素として捉える第一歩になります。

フィジカルは「筋肉量」ではない

フィジカルトレーニングと聞いたとき、多くの選手や指導者が真っ先に思い浮かべるのが「筋肉を大きくすること」です。確かに、筋肉量は身体能力を構成する一要素であり、完全に否定されるものではありません。しかし、野球におけるフィジカルを筋肉量だけで語ることは、非常に限定的な理解だと言えます。

野球は、単純に大きな力を一度発揮すればよい競技ではありません。投球や打撃では、短時間で力を立ち上げるスピード、全身を連動させる協調性、姿勢を保ったまま動作を完結させる安定性が求められます。さらに、これらの動作を試合を通して何度も繰り返す持続性も必要になります。これらは、筋肉の「量」だけでは測れない要素です。

BTAが重視しているフィジカルとは、「使える身体の能力」です。具体的には、地面からの反力を受け取り、それをロスなく伝える能力、動作中に姿勢を崩さず身体を安定させる能力、必要な瞬間に力を素早く発揮する能力、そしてそれらを繰り返し発揮できる耐久性を指します。これらは、筋肉量が多いだけでは自然に身につくものではありません。

筋肉を大きくするトレーニングは、目的や方法を誤ると、動作の柔軟性や連動性を損なうこともあります。可動域が制限されたり、特定の部位だけが過剰に発達したりすると、野球動作に必要なバランスが崩れることがあります。その結果、出力は上がらず、ケガのリスクだけが高まるという状況に陥ることもあります。

重要なのは、「どれだけ筋肉があるか」ではなく、「その筋肉を野球の動作の中で使えているか」です。フィジカルは見た目で判断できるものではなく、プレーの中でどのように力が伝わり、どれだけ安定して再現できているかによって評価されます。

フィジカルを筋肉量と同一視しないこと。この認識を持つことで、トレーニングは単なる筋肥大の作業から、競技パフォーマンスを高めるための手段へと変わっていきます。

スキルとフィジカルの関係は「50:50」

BTAでは、野球のパフォーマンスを
スキル 50% × フィジカル 50%
という割合で捉えています。これは、どちらか一方を軽視するという意味ではなく、両者が同等に重要であり、互いに補完し合う関係にあるという考え方です。

スキルが優れていれば、効率の良い動作や再現性の高いフォームを身につけることができます。しかし、フィジカルが不足していれば、そのスキルは試合の中で安定して発揮されません。練習ではうまくいくのに、強度が上がった場面や疲労が溜まった状況で崩れてしまうのは、この不一致が原因です。

一方で、フィジカルが高いだけでも野球のパフォーマンスは完成しません。力があっても、動作の順序やタイミングが適切でなければ、その力は無駄に消費されてしまいます。スキルは、フィジカルによって生み出された出力を、野球という競技に適した形に整える役割を担っています。

この関係性を理解せずに、スキルかフィジカルのどちらかに偏った取り組みを続けると、必ず限界が訪れます。スキル重視の場合は、身体のキャパシティを超えた負荷がかかり、パフォーマンスの頭打ちやケガにつながります。フィジカル重視の場合は、力を活かしきれず、プレーの精度や安定性が向上しません。

重要なのは、スキルとフィジカルを別々のものとして扱わないことです。スキルを磨くことは、フィジカルに対する要求を高めることでもあり、フィジカルを鍛えることは、スキルの再現性を高めることにつながります。この相互作用を理解した上で、両者を同時に高めていく必要があります。

スキルを磨くなら、同時にフィジカルも育てる。フィジカルを強化するなら、その成果がスキルにどう反映されるかを確認する。この往復が、長期的な成長を支える基本構造になります。

フィジカルトレーニングの本当の役割

フィジカルトレーニングという言葉から、多くの人は「速くなる」「重いものを持てるようになる」といった分かりやすい変化を想像します。これらは確かに一つの成果ではありますが、野球におけるフィジカルトレーニングの本質は、そこにはありません。

BTAが考えるフィジカルトレーニングの最大の目的は、技術を安定して発揮できる身体をつくることです。つまり、調子の良し悪しに左右されにくく、試合の中で同じ動作を繰り返せる身体を育てることにあります。出力が上がること自体よりも、その出力をコントロールできるかどうかが重要になります。

野球の技術は、常に高い負荷の中で発揮されます。全力投球やフルスイングは、身体に大きなストレスを与えます。このとき、身体がその負荷に耐えられなければ、フォームは崩れ、出力は低下し、最終的にはケガにつながります。フィジカルトレーニングは、こうした負荷に対して身体を準備させる役割を担っています。

また、フィジカルトレーニングには、「壊れない身体をつくる」という側面もあります。成長期の選手や、レベルが上がるにつれて出力が高まる選手ほど、身体への負担は大きくなります。その変化に身体が追いつかなければ、成長そのものが止まってしまいます。フィジカルは、技術の成長を受け止めるための土台でもあるのです。

重要なのは、フィジカルトレーニングを「結果を出すための近道」と捉えないことです。短期的な数値の向上を追い求めるのではなく、長期的に安定したパフォーマンスを支える基盤を整える。この視点を持つことで、トレーニングは競技生活全体を支える重要な要素になります。

フィジカルトレーニングの役割は、技術を裏切らない身体をつくること。その身体があって初めて、日々積み重ねてきた技術が、試合という場で確実に表現されるようになります。

フィジカルを鍛えると、野球はどう変わるか?

フィジカルが整ってくると、技術練習の内容や手応えが変化してきます。多くの選手が感じる最初の変化は、「動作が安定する」という点です。これまで意識しないと崩れていたフォームが、特別なことを考えなくても自然に再現できるようになります。

この変化は、技術が急に向上したから起こるわけではありません。身体が必要な力を受け止め、支え、出力できるようになった結果として、動作のブレが減っているのです。フィジカルが整うことで、身体が動作を覚えやすくなり、技術が安定して表現されるようになります。

次に多くの選手が感じるのが、再現性の向上です。良いときと悪いときの差が小さくなり、調子の波が緩やかになります。これは、フィジカルが動作の土台として機能し始めた証拠です。疲労が溜まった状況でも、最低限の出力と動作を維持できるため、試合を通してパフォーマンスが大きく崩れにくくなります。

また、疲れにくくなるという変化も見られます。これは単純な体力向上だけでなく、無駄な力を使わずに動作できるようになることが大きく影響しています。身体が安定し、効率的に力を伝えられるようになることで、エネルギー消費が抑えられ、プレーを長く維持できるようになります。

ケガの減少も、フィジカルを鍛えた結果として重要な変化の一つです。身体が負荷に耐えられるようになることで、特定の部位に過剰なストレスが集中しにくくなります。結果として、技術練習を継続できる期間が長くなり、成長の機会そのものが増えていきます。

これらの変化はすべて、技術練習の「質」が高まった結果です。フィジカルは、直接的にプレーを変えるというよりも、技術練習の効果を何倍にも引き上げる役割を果たします。フィジカルを鍛えることは、技術練習を無駄にしないための投資だと考えてください。

この教科書で伝えたいこと

この教科書は、一般的なフィジカルトレーニングのマニュアルとは性質が異なります。具体的な筋トレメニューを並べたり、数週間で球速が何km上がるといった即効性を約束するものではありません。そうした情報は一時的な指標にはなりますが、長期的な成長を保証するものではないからです。

BTAがこの教科書を通して伝えたいのは、「野球につながるフィジカルトレーニングの考え方」です。何を鍛えるかという表面的な話ではなく、なぜそれを鍛える必要があるのか、その理由と背景を理解することを重視しています。この視点が欠けたままでは、トレーニングは単なる作業になりやすく、継続や改善につながりません。

野球に必要なフィジカルは、選手の年齢、ポジション、成長段階、プレースタイルによって異なります。同じトレーニングが、すべての選手に同じ効果をもたらすわけではありません。だからこそ、メニューをそのまま真似るのではなく、「なぜこのトレーニングを行うのか」「この動きは野球のどの動作につながるのか」を理解することが重要になります。

考え方が身につくと、トレーニングの質は大きく変わります。目的が明確になり、自分の身体やプレーを客観的に見直す視点が生まれます。その結果、練習内容を自分で調整し、成長に合わせて最適化していくことが可能になります。これは、競技レベルが上がるほど重要になる能力です。

この教科書は、フィジカルトレーニングを特別なものとして扱うのではなく、野球を構成する基本要素の一つとして整理するためのものです。技術練習と同じように、理解し、考え、積み重ねていく。そのための共通言語と視点を提供することが、この教科書の役割です。

第1章のまとめ

この章では、野球におけるフィジカルトレーニングの位置づけを整理してきました。まず確認すべきなのは、野球が技術だけで成立する競技ではないという点です。フォームや動作の理解といったスキルは重要ですが、それを実際のプレーとして表現するためには、必ず身体という土台が必要になります。

多くの選手が経験する成長の停滞やパフォーマンスの頭打ちは、技術不足ではなく、身体の限界によって引き起こされているケースが少なくありません。技術練習を重ねても結果が変わらないとき、見直すべきなのはフォームではなく、そのフォームを支えているフィジカルである可能性があります。

また、フィジカルは筋肉量と同義ではありません。野球に必要なのは、地面から力を受け取り、身体を安定させ、必要な瞬間に出力し、それを繰り返せる「使える身体の能力」です。見た目の強さではなく、プレーの中で機能しているかどうかが重要になります。

BTAでは、野球のパフォーマンスを
スキル 50% × フィジカル 50%
と捉えています。どちらか一方だけでは不十分であり、両者を同時に高めていくことで初めて、安定した成長が可能になります。フィジカルトレーニングは、技術を否定するものではなく、むしろ技術を裏切らないための準備です。

フィジカルを整えることで、フォームは安定し、再現性が高まり、ケガが減り、技術練習の質そのものが向上します。これは短期的な成果ではなく、競技を続けていくうえでの土台づくりです。

第1章で伝えたかったのは、フィジカルトレーニングを「特別なもの」として見るのではなく、野球を成立させるための前提条件として捉える視点です。この理解を土台に、次の章では、より具体的に「野球に必要なフィジカルとは何か」を掘り下げていきます。

平日30分でトレーニングの知識を
アップデートしよう!

BTAでは野球につながるトレーニングの基本的な知識や、トレーニング最新情報を無料でお届けしています。

本質的な内容を体系的にまとめた「BTA式フィジカルトレーニングの教科書」と、今の時期にやるべきメニューなどを配信する「BTAオンライン塾」で、平日のスキマ時間を活用しながら学んでください。

\無料で参加できます/

\登録なしで全て読めます/

この記事を書いた人

BTAでは「#フィジカル勝負」というスローガンを掲げ、圧倒的なフィジカルを手に入れて野球パフォーマンスを向上させることを目指して、フィジカルトレーニングを提供しています。また、BTAでは野球パフォーマンスはスキル50%、フィジカル50%という考えを大切にしており、そのうちのフィジカル50%を徹底的に鍛えるためのメニューや環境をご提供することが私たちの役割だと信じています。

目次