ケガに負けない強い身体づくり|出力に耐えられる身体づくり

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目次

はじめに

野球選手にとって、どれだけ高い能力を持っていても、ケガによって練習が止まり、試合に出られなくなってしまえば、その能力は結果として発揮されません。球速が速い、打球が強い、動きが鋭い。これらはすべて大きな武器ですが、シーズンを通してそれを使い続けられなければ、競技力としては完成していないと言えます。

多くの選手は、「強い身体」と聞くと、筋力がある身体や出力が高い身体をイメージします。しかし、BTAでは強い身体をそのようには定義しません。BTAが考える強い身体とは、高い出力を出し続けても壊れない身体、言い換えれば「出力に耐え続けられる身体」です。

野球は、繰り返し高い負荷がかかる競技です。投球や打撃は一回で終わる動作ではなく、練習や試合の中で何度も行われます。さらに、レベルが上がるほど出力は高まり、身体へのストレスも増えていきます。このとき、出力だけが先に伸び、身体の準備が追いついていないと、ケガという形でそのズレが表面化します。

重要なのは、ケガを「不運」や「弱さ」として捉えないことです。多くの場合、ケガは能力の問題ではなく、準備と設計の問題です。出力が上がること自体は悪いことではありません。むしろ成長の証です。しかし、その成長に対して、身体が耐えられる状態を同時に作れているかどうかが分かれ道になります。

第1章から第4章までで、フィジカルをどう高め、どうプレーに変換するかを整理してきました。この第5章では、その前提として欠かせない「耐える力」に焦点を当てます。ケガを避けるために消極的になるのではなく、高い出力を前提に、それを受け止められる身体をどう作るかを考えていきます。

この章で伝えたいのは、「ケガをしないために何もしない」という考え方ではありません。むしろ逆で、「高いレベルで戦い続けるために、何を準備すべきか」という視点です。ケガに負けない身体づくりとは、出力を抑えることではなく、出力を受け止められる身体を設計すること。その考え方を、この章で整理していきます。

ケガは「弱さ」ではなく「準備不足」で起こる

ケガをしたとき、多くの選手はまず自分を責めます。
「自分の身体が弱いからだ」
「フォームが悪いからだ」
「才能がないから仕方ない」
こうした考え方は、決して珍しいものではありません。しかし、現場で多くの選手を見ていると、この認識はほとんどの場合、正しくありません。

実際に起きている多くのケガは、「身体が弱いから」ではなく、「身体がその負荷にまだ準備できていなかった」だけです。つまり、ケガの正体は能力不足ではなく、準備不足であるケースが圧倒的に多いのです。

野球選手の身体は、常に変化しています。トレーニングによって出力が上がることもあれば、技術の向上によって動作のスピードが増すこともあります。練習量が増えたり、試合のレベルが上がったりすることもあるでしょう。これらはすべて「成長」による変化です。しかし問題になるのは、その変化に対して、身体の準備が追いついているかどうかです。

たとえば、球速が急激に上がった選手は、肩や肘にかかるストレスも同時に増えています。打球速度が上がれば、スイング時の負荷も大きくなります。走力が向上すれば、地面からの反力も強くなります。これらはすべてポジティブな変化ですが、関節や筋、腱がその強度に適応する時間を与えられていなければ、ケガという形でブレーキがかかります。

ここで重要なのは、身体の適応には時間がかかるという事実です。筋力やパワーは比較的短期間で伸びますが、腱や靭帯、関節周りの組織は、同じスピードでは強くなりません。出力だけが先に伸びると、このギャップが広がり、ケガのリスクが高まります。

ケガを「弱さ」と捉えてしまうと、選手は必要以上に自信を失います。そして、「もっと強くならなければ」と焦り、さらに負荷をかけてしまうことがあります。これは、準備不足をさらに拡大させる悪循環です。大切なのは、自分を責めることではなく、「今の身体は、このレベルの出力に対応できていたか」を冷静に振り返ることです。

BTAでは、ケガを一つのサインとして捉えます。それは「ここから先に進むために、準備が必要だ」という身体からのメッセージです。出力を下げるのではなく、出力に耐えられる土台を作り直す。これが、ケガを成長につなげるための考え方です。

ケガは失敗ではありません。多くの場合、成長の途中で起こる調整のタイミングです。重要なのは、その原因を正しく理解し、次に同じ状況を繰り返さないための準備をすることです。その視点を持つだけ said, ケガへの向き合い方は大きく変わります。

出力が上がるほど、リスクも上がる

球速が上がる、打球が強くなる、走るスピードが速くなる。これらはすべて、野球選手にとって歓迎すべき成長です。しかし同時に、見落としてはいけない事実があります。それは、出力が上がるということは、身体にかかるストレスも確実に増えているという点です。

出力とは、単に力が強くなることではありません。投球であれば、肩や肘にかかる瞬間的な負荷が大きくなります。打撃であれば、スイング時の回旋スピードが上がり、体幹や股関節、腰部にかかるストレスが増えます。走力が上がれば、地面から受ける反力は強くなり、足首や膝、股関節への負担も大きくなります。出力の向上は、身体全体にかかる負荷の増加と表裏一体です。

ここで重要なのは、負荷が増えること自体は悪いことではないという点です。むしろ、それは成長している証拠です。しかし問題になるのは、その負荷に対して、関節・筋・腱といった組織が十分に準備できているかどうかです。出力が上がっても、それを受け止める側の準備ができていなければ、ストレスは一部に集中し、ケガにつながります。

多くの選手が陥りやすいのは、「パフォーマンスが上がっているから大丈夫だ」という錯覚です。実際には、出力が上がった直後こそ、リスクは高まっています。なぜなら、筋力やスピードは比較的早く向上しますが、腱や靭帯、関節周辺の組織は、同じスピードで強くならないからです。この時間差が、ケガの温床になります。

そのため、BTAでは「出力を上げるトレーニング」と「耐える力を育てるトレーニング」を、必ず並行して行うことを重視しています。出力だけを追い求めると、身体は一時的に高いパフォーマンスを発揮できても、長くは持ちません。逆に、耐える力だけを意識して出力を抑え続けると、競技レベルは頭打ちになります。重要なのは、この2つを同時に育てることです。

また、出力が上がるほど、フォームの乱れや小さなエラーが、ケガに直結しやすくなります。低い出力では問題にならなかった動作のズレも、高い出力では大きなストレスになります。だからこそ、出力が上がる段階では、安定性やモビリティの再確認が欠かせません。

パフォーマンス向上とケガのリスクは、対立するものではありません。正しく設計すれば、両立できます。出力を上げるなら、その出力に耐えられる身体を同時に作る。この視点を持つことで、成長は一時的なものではなく、継続できるものになります。

出力が上がるほど、リスクも上がる。この事実を恐れる必要はありません。むしろ、それを前提として準備を重ねることが、ケガに負けない強い身体づくりの第一歩になります。

「ケガ予防トレーニング」という考え方の落とし穴

フィジカルの話をすると、必ずと言っていいほど出てくる言葉が「ケガ予防トレーニング」です。ストレッチ、チューブトレーニング、軽い体操。これらは確かに身体にとって必要な要素であり、否定されるものではありません。しかし、BTAではこの言葉をそのまま使うことに慎重です。なぜなら、「ケガ予防」という言葉が、フィジカルの本質を見えにくくしてしまうことがあるからです。

一般的に「ケガ予防トレーニング」と聞くと、多くの選手は「軽くて安全な運動」「負荷をかけない動き」をイメージします。確かに、身体をほぐしたり、可動域を整えたりすることは重要です。しかし、それだけで高い出力に耐えられる身体が作れるかというと、答えは明確に「NO」です。

野球の現場で起こる多くのケガは、軽い動作の中で起きているわけではありません。全力投球、フルスイング、全力疾走といった、高出力の動作の中で起こります。つまり、ケガを防ぐためには、「弱い刺激に慣れること」ではなく、「強い刺激に耐えられる身体を作ること」が必要になります。

ここに、「ケガ予防トレーニング」という言葉の落とし穴があります。ケガを避けようとするあまり、刺激を避け続けると、身体は強度に適応する機会を失います。その結果、いざ試合や高強度の練習で大きな負荷がかかったときに、身体が対応できず、ケガにつながります。これは予防ではなく、先延ばしに近い状態です。

BTAが重視しているのは、「ケガをしないように避ける」という考え方ではありません。
「ケガに耐えられる身体を作る」
この視点です。高い出力が前提になる以上、その出力を受け止められるだけの準備を、段階的に進めていく必要があります。

もちろん、いきなり強い負荷をかけることが正解というわけではありません。重要なのは、「段階」です。軽い刺激から始め、少しずつ負荷を高め、身体が適応する時間を確保する。このプロセスを踏むことで、関節や腱、筋は強度に慣れていきます。これこそが、本当の意味でのケガへの備えです。

また、「ケガ予防」を目的にしたトレーニングが、競技動作と切り離されているケースも多く見られます。競技の中で使われない動きだけを繰り返しても、試合中の高出力には対応できません。トレーニングは、最終的に競技動作の中で使われることを前提に設計される必要があります。

ケガを恐れて何もしないことは、決して安全ではありません。むしろ、強度に耐えられない身体を作ってしまうリスクがあります。ケガ予防とは、「負荷をかけないこと」ではなく、「負荷に耐えられる準備をすること」。この認識に切り替えることで、フィジカルトレーニングの質は大きく変わります。

ケガに強い身体を作る3つの柱

BTAでは、ケガに負けない身体づくりを「特別なメニュー」や「一部の予防運動」で解決しようとは考えていません。ケガに強い身体とは、偶然できるものではなく、構造として作られるものです。その構造を整理したものが、ここで紹介する3つの柱です。

この3つは独立したものではなく、互いに影響し合っています。どれか一つが欠けると、身体は高い出力に耐えられません。逆に、この3つがそろっていれば、出力が上がっても身体は安定し、ケガのリスクは大きく下がります。

① 安定性(スタビリティ)

安定性とは、単に「動かないこと」ではありません。
動いている中でも姿勢を保ち、力を逃さずに受け止められる能力を指します。

野球の動作は、常に不安定な状況で行われます。片脚で立つ、体をひねる、前後左右に動く。その中で高い出力を出すためには、身体のどこかが必ず支点として機能していなければなりません。この支点が不安定だと、関節や筋に無理なストレスが集中します。

安定性が低い選手に多いのが、「動きは派手だが、力が逃げている」状態です。ぐらついた姿勢のまま出力を出そうとすると、身体は無意識に代償動作を使います。その結果、本来負荷を分散すべきところにストレスが集中し、ケガにつながります。

安定性は、出力を抑えるためのものではありません。むしろ、高い出力を安全に出すための前提条件です。安定性があることで、力は分散され、繰り返し使えるようになります。

② モビリティ(可動性)

モビリティとは、「たくさん動くこと」ではありません。
必要な範囲を、必要なタイミングで動かせる能力です。

可動域が足りない状態では、身体は別の部位を使って動作を成立させようとします。これが代償動作です。代償動作が続くと、本来使うべき関節や筋が使われず、別の部位に過剰な負担がかかります。これが、慢性的なケガや違和感の原因になります。

一方で、無理に可動域を広げすぎることも問題です。必要以上に柔らかい関節は、安定性を失いやすく、高出力時にコントロールが効かなくなります。BTAが重視するのは、「広さ」ではなく「使いやすさ」です。

モビリティと安定性は対立するものではありません。適切なモビリティがあるからこそ、安定性は機能します。このバランスが崩れると、ケガのリスクは一気に高まります。

③ 段階的な負荷の積み上げ

ケガに強い身体づくりにおいて、最も重要とも言えるのが「段階性」です。
身体は、段階を踏めば必ず適応します。逆に、段階を飛ばせば、必ずどこかに無理が生じます。

よくある失敗は、調子が良いときに一気に強度を上げてしまうことです。出力が上がった、動きが良くなった。そのタイミングこそ、身体はまだ適応途中にあります。ここで負荷を急激に上げると、関節や腱が耐えきれず、ケガにつながります。

段階的な負荷とは、「少し物足りない」刺激を積み重ねることです。急激な変化ではなく、身体が慣れる時間を確保する。この積み重ねこそが、出力に耐えられる身体を作ります。

この3つの柱は、「ケガを避けるための消極的な考え方」ではありません。
高い出力を前提に、それを受け止めるための積極的な準備です。

ケガに強い身体とは、慎重すぎる身体ではなく、準備が整った身体。この視点を持つことで、トレーニングは安全と成長を両立できるものになります。

ケガが多い選手に共通する特徴

ケガが多い選手を見ていると、「身体が弱い」「恵まれていない」と片付けられてしまうことがあります。しかし、実際に現場で継続的に観察していくと、ケガが多い選手には共通した行動や考え方のパターンがあることが分かります。これは体格や才能の問題ではなく、日々の判断の積み重ねによって作られた結果です。

まず多く見られるのが、疲れていても無理をするという行動です。疲労が溜まっている状態では、動作の精度は必ず落ちます。姿勢は崩れ、反応は遅れ、無意識の代償動作が増えます。それにもかかわらず、「これくらい大丈夫」「休むのは甘えだ」と考えて練習やトレーニングを続けると、身体はその負荷を部分的にしか受け止められなくなります。その結果、特定の関節や筋にストレスが集中し、ケガにつながります。

次に多いのが、痛みと違和感を無視することです。痛みが出たときに、「気のせいだ」「動けるから問題ない」と判断してしまう選手は少なくありません。しかし、痛みや違和感は、身体が出している明確なサインです。これを無視して動き続けることは、ブレーキが壊れた車で走り続けるようなものです。いきなり大きなケガにならなくても、小さなズレが蓄積し、ある日突然大きな故障として表に出ます。

さらに、トレーニングと練習の区別がないことも、ケガが多い選手に共通する特徴です。すべてを「頑張る時間」として捉え、強度や目的を整理せずに取り組んでしまうと、身体は常に高い負荷にさらされます。トレーニングは身体を強くするための時間であり、練習は技術や判断を磨くための時間です。この役割を混同すると、必要以上に疲労が溜まり、回復のタイミングを失います。

これらの行動に共通しているのは、「今できているかどうか」だけで判断している点です。動けるからやる、結果が出ているから続ける。短期的には問題がないように見えても、身体の内部では確実に無理が蓄積しています。ケガが多い選手ほど、長期的な視点を持たず、その日の感覚で判断してしまう傾向があります。

一方で、長く活躍する選手ほど、自分の状態を客観的に見ています。疲労や違和感を「弱さ」ではなく「情報」として扱い、必要な調整を入れます。これは慎重すぎるのではなく、出力を出し続けるための戦略です。無理をしないことが目的なのではなく、無理をしなくて済む状態を作ることが目的です。

ケガが多いかどうかは、才能では決まりません。日々の判断の積み重ねが、結果として身体に表れます。強い選手とは、常に全力でやる選手ではなく、必要なときに全力を出せる状態を維持できる選手です。この視点を持つことが、ケガに負けない身体づくりの重要な一歩になります。

リカバリーもトレーニングの一部

多くの選手にとって、「リカバリー」という言葉はどこか後回しにされがちです。練習やトレーニングは頑張る時間、リカバリーは余裕があるときにやるもの。そんな認識を持っている選手は少なくありません。しかし、BTAではリカバリーを「トレーニングの付属品」とは考えません。リカバリーは、トレーニングそのものの一部です。

身体は、負荷をかけた瞬間に強くなるわけではありません。トレーニングによって一度ダメージを受け、その後の回復過程で適応が起こり、結果として強くなります。つまり、回復がなければ成長は完成しません。どれだけ質の高いトレーニングを行っても、リカバリーが不足していれば、その効果は十分に発揮されないのです。

まず重要なのが睡眠です。睡眠は、最も基本的で、最も効果の高いリカバリー手段です。成長ホルモンの分泌、筋や腱の修復、神経系の回復。これらは睡眠中に行われます。トレーニング内容をいくら細かく管理しても、睡眠が不足していれば、身体は回復しきれません。睡眠時間や質を軽視することは、成長の機会を自ら削っているのと同じです。

次に重要なのが栄養です。身体は、材料がなければ回復できません。特に、強度の高いトレーニングを行っている選手ほど、エネルギー不足や栄養の偏りがケガのリスクを高めます。ここで大切なのは、特別なサプリメントではなく、日常的に「回復できる食事」を摂れているかどうかです。トレーニングと同じくらい、食事も設計されるべき要素です。

軽い運動やコンディショニングも、重要なリカバリー手段です。完全に動かないことが必ずしも最良とは限りません。血流を促し、関節を軽く動かすことで、回復がスムーズに進むことも多くあります。ここでのポイントは、「回復を目的とした強度」に抑えることです。疲労を抜くための時間に、さらに負荷をかけてしまっては意味がありません。

また、ボリューム調整もリカバリーの一部です。常に全力、常に高強度という状態では、身体は回復のタイミングを失います。トレーニング量や強度を意図的に落とす期間を作ることは、決してサボりではありません。それは、次の成長段階に進むための準備期間です。第3章で扱った「リロード」のフェーズが、ここに当たります。

リカバリーを軽視すると、「疲労が抜けていない状態で、さらに出力を求める」という悪循環に陥ります。これが続くと、身体は常にギリギリの状態になり、小さな違和感が大きなケガへと発展します。逆に、リカバリーを計画的に取り入れている選手は、出力を上げても身体が安定し、シーズンを通して戦い続けることができます。

強い選手とは、常に追い込んでいる選手ではありません。回復まで含めて自分の身体を管理できる選手です。リカバリーは逃げではなく、成長戦略の一部。この認識を持つことで、ケガに負けない身体づくりは、より現実的で持続可能なものになります。

第5章のまとめ

第5章では、「ケガに負けない強い身体づくり」というテーマのもと、ケガを単なる不運や弱さとして捉えるのではなく、出力に耐え続けられる身体をどう設計するかという視点で整理してきました。この章で最も伝えたかったのは、強い身体とは「ケガをしない身体」ではなく、「高い出力を前提に、それを受け止め続けられる身体」であるという考え方です。

ケガは、多くの場合、能力不足から起こるものではありません。球速が上がった、打球が強くなった、練習量や強度が一段上がった。その変化に対して、身体の準備が追いついていなかっただけです。つまり、ケガの正体は「弱さ」ではなく「準備不足」です。この認識を持てるかどうかで、ケガへの向き合い方は大きく変わります。

また、出力が上がるほど、リスクも同時に上がるという事実についても整理しました。パフォーマンス向上とケガのリスクは、対立するものではなく表裏一体です。出力を上げること自体は成長の証ですが、その出力に耐えられる準備がなければ、身体は必ずどこかで悲鳴を上げます。だからこそ、BTAでは「出力を高めること」と「耐える力を育てること」を、必ず並行して進める必要があると考えています。

「ケガ予防トレーニング」という言葉の落とし穴についても触れました。軽い運動やストレッチだけでは、高い出力に耐えられる身体は作れません。ケガを恐れて刺激を避け続けることは、決して安全ではなく、むしろ強度に対応できない身体を作ってしまうリスクがあります。重要なのは、「ケガを避けること」ではなく、「ケガに耐えられる身体を作ること」という視点です。

そのために必要な考え方として、BTAでは「安定性」「モビリティ」「段階的な負荷の積み上げ」という3つの柱を提示しました。姿勢を保ち、力を逃さずに受け止める安定性。必要な範囲を無理なく使えるモビリティ。そして、急激な変化を避け、身体が適応する時間を確保する段階性。この3つがそろって初めて、身体は高い出力を安全に扱えるようになります。

さらに、ケガが多い選手に共通する特徴として、「疲れていても無理をする」「痛みや違和感を無視する」「トレーニングと練習の区別がない」といった判断のズレを整理しました。ケガが多いかどうかは才能ではなく、日々の判断の積み重ねです。強い選手ほど、自分の状態を客観的に見て、必要な調整を入れています。

そして最後に強調したのが、リカバリーの重要性です。睡眠、栄養、軽い運動、ボリューム調整。これらはサボりではなく、「次の成長のための準備」です。回復まで含めてトレーニングであり、リカバリーがなければ成長は完成しません。強い選手とは、常に追い込める選手ではなく、出力と回復を両立できる選手です。

第5章を通して伝えたのは、ケガを恐れて守りに入ることではありません。高いレベルでプレーし続けるために、身体をどう準備し、どう管理するかという戦略です。出力を出すことと、耐えること。その両方を設計できたとき、フィジカルは本当の意味で「強さ」になります。

次の章では、ここまで積み上げてきた
・設計
・変換
・耐える力
これらを踏まえたうえで、BTA式フィジカルトレーニングを日常にどう落とし込むかを扱っていきます。
「分かって終わり」ではなく、「続けられる形」にしていきましょう。

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本質的な内容を体系的にまとめた「BTA式フィジカルトレーニングの教科書」と、今の時期にやるべきメニューなどを配信する「BTAオンライン塾」で、平日のスキマ時間を活用しながら学んでください。

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この記事を書いた人

BTAでは「#フィジカル勝負」というスローガンを掲げ、圧倒的なフィジカルを手に入れて野球パフォーマンスを向上させることを目指して、フィジカルトレーニングを提供しています。また、BTAでは野球パフォーマンスはスキル50%、フィジカル50%という考えを大切にしており、そのうちのフィジカル50%を徹底的に鍛えるためのメニューや環境をご提供することが私たちの役割だと信じています。

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