フィジカルトレーニングのよくある誤解|思い込みが、成長を止めている

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目次

はじめに

フィジカルトレーニングがうまくいかない理由は、メニューややり方の問題だけではありません。実は多くの場合、トレーニングに入る前の段階で、すでにブレーキがかかっていることがあります。その正体が、「誤解」や「思い込み」です。

・筋トレをすると動きが遅くなる
・身体が固くなる
・毎日やらないと意味がない
・成長期に筋トレは危険
・フィジカルはケガ予防のためのもの
・正解のメニューがどこかにある

こうした考え方は、野球の現場で非常によく聞かれます。そして厄介なのは、これらの多くが「一部だけを見ると、間違っていないように聞こえる」ことです。そのため、疑問を持たれないまま、長年引き継がれてきました。

しかし、これらの思い込みは、知らず知らずのうちに選手の成長を制限します。やるべきトレーニングを避けてしまったり、本来は必要な刺激を怖がってしまったり、逆にやらなくていいことを頑張り続けてしまったりします。結果として、「努力しているのに伸びない」「なぜか頭打ちになる」という状態に陥ります。

フィジカルトレーニングは、感覚やイメージだけで判断すると、どうしても誤解が生まれやすい分野です。見た目の変化や一時的な感覚だけで評価されることも多く、「何が本当に大切なのか」が分かりにくくなりがちです。その隙間に、思い込みが入り込みます。

この章の目的は、新しい理論を詰め込むことではありません。むしろ逆で、これまで無意識に抱いてきたブレーキを、一つずつ外していくことです。誤解が解けると、「やらなくていい心配」と「本当に向き合うべき課題」がはっきり分かれるようになります。これは、トレーニングの質を上げるうえで非常に重要です。

誤解を持ったままでは、どれだけ正しいメニューを渡されても、全力で取り組めません。「本当にやって大丈夫なのか」「将来に悪影響はないのか」という不安が残ったままでは、身体は思い切って使われないからです。安心して前に進むためには、まず考え方を整理する必要があります。

この第6章では、野球の現場で特によく聞かれる誤解を一つずつ取り上げ、なぜそう思われてきたのか、そして実際はどう考えるべきなのかを、できるだけ分かりやすく整理していきます。専門用語や難しい理屈ではなく、「なぜそう言えるのか」が伝わる説明を重視します。

この章を読み終えるころには、フィジカルトレーニングに対する余計な不安や迷いが減り、「何を信じて進めばいいのか」が見える状態になっているはずです。誤解が解ければ、トレーニングは怖いものではなく、成長のための明確な手段になります。

誤解① 筋トレをすると動きが遅くなる?

これは、フィジカルトレーニングに対する誤解の中でも、最も多く、そして最も根深いものの一つです。
「筋トレをすると身体が重くなる」
「筋肉がつくとスピードが落ちる」
こうしたイメージを持っている選手や指導者は、決して少なくありません。

確かに、やり方を間違えれば、筋トレによって動きが重くなることはあります。たとえば、フォームが崩れたまま重いものを無理に持ち上げたり、可動域を無視してただ反動で動かしたりすると、身体は「力を速く出す」方向ではなく、「力をこらえて耐える」方向に適応してしまいます。このようなトレーニングを続ければ、動きが鈍く感じることは十分に起こり得ます。

しかし、ここで重要なのは、それは筋トレそのものが悪いのではなく、筋トレの質と目的が間違っているという点です。正しく行われたストレングストレーニングは、動きを遅くするどころか、むしろスピードを高めるための土台になります。

スピードとは、「素早く脚を動かすこと」や「腕を速く振ること」だけで生まれるものではありません。野球におけるスピードの正体は、地面を強く押し、その反力を一瞬で使えるかどうかにあります。そのためには、
・地面を押し返せるだけの力
・その力を受け止められる身体
・力をロスなく次の動作につなげる安定性
が必要になります。これらはすべて、ストレングストレーニングによって育てられる能力です。

筋力が不足している状態では、どれだけ速く動こうとしても、身体は地面反力を十分に使えません。その結果、動きは小さくなり、スピードも頭打ちになります。つまり、筋力はスピードのブレーキではなく、スピードを引き出すための下地なのです。

また、「筋トレ=ゆっくり動くもの」というイメージも誤解を生みやすいポイントです。確かに、ストレングストレーニングの多くはコントロールされた動作で行われます。しかしそれは、「遅く動くため」ではなく、「正しい力の出し方を身につけるため」です。ここで身につけた安定性と出力の基礎があるからこそ、後のフェーズでスピードトレーニングや変換トレーニングが成立します。

BTAでは、ストレングストレーニングを「速く動くための準備段階」と位置づけています。準備がないままスピードだけを求めると、身体は対応できず、フォームが崩れたり、ケガのリスクが高まったりします。これは、速くなれないだけでなく、長くプレーできない原因にもなります。

筋トレをすると動きが遅くなるのではありません。
動きを速くするための準備ができていない筋トレをすると、そう感じるだけです。

この誤解を解くことで、「速くなりたいから筋トレはやらない」という選択が、実は遠回りだったことに気づくはずです。正しく行われたストレングストレーニングは、スピードを奪うものではなく、スピードを引き出すための基盤になります。

誤解② 筋トレをすると身体が固くなる?

「筋トレをすると身体が固くなる」という不安も、野球の現場では非常によく聞かれる声です。特に、投手や柔軟性を重視するポジションの選手ほど、この誤解を強く持っている傾向があります。確かに、筋トレを始めてから「動きにくくなった」「張りを感じるようになった」と感じた経験がある選手もいるでしょう。しかし、その原因は筋トレそのものではありません。

実際に身体が固くなる原因の多くは、筋トレのやり方や、その前後の管理にあります。具体的には、
・可動域を無視したままのトレーニング
・同じ動きだけを繰り返す偏った刺激
・トレーニング後のケアやモビリティ不足
こうした条件が重なることで、「筋トレ=固くなる」という印象が生まれます。

筋トレで扱う動作は、本来「関節を動かしながら力を出す」ものです。適切な可動域を使い、正しいフォームで行えば、筋肉は縮むだけでなく、伸びながら力を出す経験も積みます。これは、むしろ動ける身体を作るために必要な刺激です。固くなるのではなく、「使える範囲で強くなる」という変化が起こります。

一方で、可動域を制限したまま重さだけを追いかけると、身体はその狭い範囲でしか力を出さなくなります。その結果、「その範囲以外では動きにくい」という感覚が生まれます。これが、「筋トレをすると固くなる」と感じる正体です。問題は筋トレではなく、動かしていない範囲が増えてしまったことです。

また、「固くなった」と感じる背景には、単なる筋肉の張りや疲労が影響している場合も多くあります。トレーニング直後は、筋肉に疲労が溜まり、一時的に動きが悪くなります。しかしこれは一過性のものであり、回復とともに解消されるものです。この状態を「柔軟性が失われた」と勘違いしてしまうことも、誤解を生む原因になります。

BTAでは、筋トレをモビリティとセットで考えることを強く重視しています。トレーニング前に関節が動く状態を作り、トレーニング中は適切な可動域で力を出し、トレーニング後には必要な範囲を再確認する。この流れがあることで、筋トレは身体を固めるどころか、動きの質を高める方向に作用します。

重要なのは、「柔らかい身体」と「動ける身体」は同じではないという点です。必要以上に柔らかいだけの身体は、出力時に不安定になりやすく、ケガのリスクも高まります。野球に必要なのは、必要な範囲を安定して使える可動性です。筋トレは、その安定性を支える役割を担います。

筋トレをすると身体が固くなるのではありません。
動かし方を間違えると、そう感じるだけです。

正しい可動域、適切なフォーム、モビリティとの組み合わせ。この3つがそろえば、筋トレは「固めるもの」ではなく、「動ける身体を作るための手段」になります。

誤解③ フィジカルトレーニングは毎日やるべき?

「毎日やらないと意味がない」
「休むと落ちる」
「継続=毎日やること」

フィジカルトレーニングに取り組む選手ほど、こうした考え方を持ちやすくなります。真面目で向上心があるからこそ、「休むこと」に対して不安を感じてしまうのです。しかし、この考え方こそが、成長を止めてしまう大きな誤解の一つです。

まず、はっきりさせておくべき事実があります。
成長は、トレーニングをしている最中に起こるのではありません。
成長は、トレーニングで刺激を受けたあと、回復の過程で起こります

トレーニングとは、身体にとっては「負荷=ストレス」です。筋や神経、関節に刺激を与え、一時的にバランスを崩す行為とも言えます。そのあとに十分な回復があることで、身体は「次はこの強度に耐えられるようになろう」と適応します。この適応が、筋力や出力、安定性の向上として現れます。

しかし、毎日高強度のフィジカルトレーニングを行うとどうなるでしょうか。
・疲労が抜けきらない
・動作の精度が落ちる
・力が入りにくくなる
・違和感が増える

この状態では、身体は回復のフェーズに入れません。結果として、刺激は与え続けているのに、適応が起こらないという状態になります。これが、「頑張っているのに伸びない」典型的なパターンです。

重要なのは、頻度=効果ではないという点です。毎日やっているかどうかよりも、
・どんな目的で
・どの強度で
・どのタイミングで
行っているかのほうが、はるかに重要です。

BTAでは、フィジカルトレーニングを「やる日」と「回復させる日」をセットで考えます。高い刺激を入れたら、その分だけ回復の時間を確保する。軽い刺激の日や、動きを整える日を挟む。これによって、身体は無理なく適応していきます。

また、「毎日やらないと落ちる」という不安も、誤解であることが多いです。短期間トレーニングを休んだからといって、積み上げてきた能力が一気に失われることはありません。むしろ、疲労が抜けることで動きが軽くなり、「調子が上がった」と感じるケースも少なくありません。

もちろん、毎日身体を動かすこと自体は悪いことではありません。ただし、それが毎日同じ強度、同じ目的である必要はありません。
・今日は強く鍛える日
・今日は整える日
・今日は回復を優先する日
このように役割を分けることで、「毎日やる」と「成長する」は両立できます。

フィジカルトレーニングは、根性比べではありません。大切なのは、続けられる形で、身体が成長するリズムを作ることです。毎日やるかどうかではなく、成長につながる設計になっているか。この視点を持つだけで、トレーニングへの向き合い方は大きく変わります。

誤解④ 成長期に筋トレをすると身長が伸びなくなる?

この誤解は、特に保護者や指導者の方から多く聞かれるものです。
「筋トレをすると骨が潰れる」
「成長期は筋トレをさせないほうがいい」
こうした不安から、フィジカルトレーニング自体を避けてしまうケースも少なくありません。しかし、結論から言うと、適切に行われた筋トレが身長の成長を妨げるという科学的根拠はありません

では、なぜこのような誤解が広まったのでしょうか。背景には、「無理なトレーニング」と「正しいトレーニング」が混同されてきた歴史があります。成長期の身体に対して、過剰な重量を扱わせたり、フォームが崩れた状態で高負荷をかけたり、指導や管理がないまま自己流で行わせたりする。こうした状況では、確かにケガのリスクは高まります。しかし、それは「筋トレが悪い」のではなく、やり方が間違っているだけです。

成長期の身体は、決して弱い存在ではありません。むしろ、適応力が高く、新しい動きを覚え、身体の使い方を身につけるには最も適した時期です。この時期に、正しい姿勢、正しい動作、正しい力の出し方を学ぶことは、将来的な成長にとって大きな財産になります。

問題になるのは、
・無理な高重量を扱うこと
・可動域や姿勢を無視した動作
・疲労管理がされていない状態
です。これらが重なると、関節や成長軟骨に過剰なストレスがかかり、トラブルにつながる可能性があります。しかし、これは「成長期だから危険」なのではなく、「管理されていないから危険」なのです。

BTAでは、成長期のフィジカルトレーニングを「筋肉を大きくするための時間」とは考えていません。むしろ、身体の使い方を学ぶための時間と位置づけています。自分の体重をコントロールする、姿勢を保つ、バランスを取りながら動く。こうした基礎的なストレングスやスタビリティは、成長期だからこそスムーズに身につけることができます。

また、適切なフィジカルトレーニングは、成長期に起こりやすいケガの予防にもつながります。急激な身長の伸びによって、身体のバランスが崩れる時期こそ、安定性や基本的な筋力が重要になります。何もせずに成長を待つのではなく、変化に対応できる身体を準備することが大切です。

「成長期だから何もしない」という判断は、一見安全に見えるかもしれません。しかしその結果、正しい動きや身体の使い方を学ぶ機会を失ってしまうこともあります。成長期の筋トレは、危険なものではありません。正しく行えば、むしろ成長を支えるものです。

大切なのは、「やるか、やらないか」ではなく、「どうやるか」。この視点を持つことで、成長期のフィジカルトレーニングは、不安ではなく、将来への投資になります。

誤解⑤ フィジカルトレーニングはケガを防ぐためだけのもの?

フィジカルトレーニングを「ケガ予防のためのもの」とだけ捉えている選手や指導者は少なくありません。確かに、フィジカルトレーニングにはケガのリスクを下げ、身体を守る役割があります。しかし、それを目的のすべてだと考えてしまうと、フィジカルの本質的な価値を見失ってしまいます。

そもそも、野球におけるケガの多くは、「何もしていないとき」に起こるのではありません。全力投球、フルスイング、全力疾走といった高出力の動作の中で起こります。つまり、ケガの原因は「動きすぎ」ではなく、「高い出力に対して身体の準備が追いついていないこと」にあります。この前提に立つと、フィジカルトレーニングの役割は自然と見えてきます。

BTAが考えるフィジカルトレーニングの本質は、
パフォーマンスを高める過程で、結果としてケガに強くなる
というものです。ケガを避けるために動きを小さくしたり、出力を抑えたりすることが目的ではありません。むしろ、高い出力を前提に、その出力を安全に扱える身体を作ることが目的です。

フィジカルトレーニングによって、地面反力を効率よく使えるようになれば、特定の関節や筋に負担が集中しにくくなります。安定性が高まれば、フォームが崩れにくくなり、無理な代償動作も減ります。モビリティが整えば、必要な範囲でスムーズに動けるため、引っかかりやねじれによるトラブルも起こりにくくなります。これらはすべて、パフォーマンス向上のための要素であり、その結果としてケガのリスクが下がっているにすぎません。

「ケガ予防」を前面に出しすぎると、トレーニングはどうしても消極的になります。安全第一を意識するあまり、必要な刺激まで避けてしまい、結果として高い出力に耐えられない身体を作ってしまうこともあります。これは、短期的には安全に見えても、長期的にはリスクを高める選択です。

フィジカルトレーニングは、守りのためだけのものではありません。
攻めのパフォーマンスを支えるための基盤です。
その基盤が強くなれば、自然とケガにも強くなります。

この誤解を解くことで、フィジカルトレーニングに対する姿勢は大きく変わります。「ケガをしないために仕方なくやるもの」ではなく、「もっと高いレベルでプレーするために必要なもの」へと認識が変わるはずです。フィジカルは、ブレーキではなく、アクセルを踏むための準備です。

誤解⑥ 正解のメニューが一つある?

「このトレーニングをやれば伸びる」
「このメニューが一番効果的」
「プロもやっているから正解」

フィジカルトレーニングの世界では、こうした言葉が非常に魅力的に聞こえます。特に、結果を早く出したい選手ほど、「正解のメニュー」を探してしまいがちです。しかし、この考え方こそが、成長を止めてしまう最大の誤解の一つです。

結論から言うと、すべての選手に当てはまる“唯一の正解メニュー”は存在しません。
なぜなら、選手一人ひとりで、
・年齢
・成長段階
・体格
・トレーニング経験
・ポジション
・プレースタイル
・今抱えている課題
がまったく違うからです。

同じメニューでも、ある選手にとっては最適な刺激になる一方で、別の選手にとっては強すぎたり、逆に弱すぎたりすることがあります。これはメニューの良し悪しではなく、「今のその選手に合っているかどうか」の問題です。

よくある失敗が、「結果が出ている選手のメニューをそのまま真似する」ことです。トップ選手や上級者が行っているトレーニングは、その選手がそこに至るまでに積み上げてきた土台があって初めて成立しています。土台が違う状態で同じことをやれば、効果が出ないどころか、ケガのリスクを高めることすらあります。

また、「新しいメニュー」に飛びつき続けることも、成長を止める原因になります。刺激を変えること自体は悪いことではありませんが、目的やフェーズを考えずにメニューを変え続けると、身体は適応する前に次の刺激に移ってしまいます。結果として、何も積み上がらない状態になります。

BTAが大切にしているのは、「正解を教えること」ではありません。
自分で判断できるようになることです。

今の自分はどのフェーズにいるのか。
何が足りていて、何が足りていないのか。
このトレーニングは、次の段階につながっているのか。

こうした問いを自分で立てられるようになると、メニューに振り回されなくなります。トレーニングは、「与えられるもの」から「選ぶもの」に変わります。

フィジカルトレーニングの本質は、メニューそのものではありません。考え方と設計です。同じ種目でも、目的や意識が変われば、意味はまったく違ってきます。逆に、どれだけ良さそうなメニューでも、考え方が伴っていなければ、ただの作業になります。

「正解のメニューを探す」という発想から抜け出すこと。
それは、遠回りをやめ、自分の成長に責任を持つ第一歩です。

フィジカルトレーニングは、答え合わせではありません。
今の自分にとって最適かどうかを判断し続けるプロセスです。
この視点を持てたとき、トレーニングは流行や噂に左右されない、確かな積み重ねに変わっていきます。

第6章のまとめ

第6章では、フィジカルトレーニングがうまくいかなくなる原因として、「やり方」以前に存在する誤解や思い込みを一つずつ整理してきました。この章で伝えたかったのは、フィジカルトレーニングが難しいから失敗するのではなく、間違った前提で取り組んでしまっているケースが非常に多いという事実です。

まず、「筋トレをすると動きが遅くなる」という誤解について確認しました。動きが遅くなる原因は筋トレそのものではなく、目的や質を無視したやり方にあります。正しく行われたストレングストレーニングは、地面反力を使い、力を素早く出すための土台になります。スピードを伸ばしたい選手ほど、筋力という基盤を避けるのではなく、どう使うかを理解する必要があります。

次に、「筋トレをすると身体が固くなる」という誤解です。身体が固くなる原因の多くは、可動域を使わない動かし方や、モビリティとの組み合わせ不足にあります。筋トレは身体を固めるものではなく、必要な範囲を安定して使える身体を作るための手段です。柔らかいだけの身体ではなく、動ける身体を目指す視点が重要になります。

「フィジカルトレーニングは毎日やるべき」という考え方も、成長を妨げる大きな誤解でした。成長はトレーニング中ではなく、回復の過程で起こります。毎日高強度で行うことが努力なのではなく、刺激と回復のバランスを取ることが、結果につながる取り組み方です。頻度よりも、質とタイミングが重要であることを改めて整理しました。

成長期の筋トレに関する不安についても触れました。「筋トレをすると身長が伸びなくなる」という考え方には、明確な科学的根拠はありません。問題になるのは、管理されていない無理なトレーニングです。成長期こそ、正しい動きや身体の使い方を学ぶ絶好のタイミングであり、適切なフィジカルトレーニングは、将来の成長を支える基盤になります。

また、「フィジカルトレーニングはケガ予防のためだけのもの」という誤解についても整理しました。フィジカルの本質は、パフォーマンスを高める過程で、結果としてケガに強くなることです。守るためだけのトレーニングではなく、高い出力を前提に、それを扱える身体を作ることが目的です。この視点を持つことで、フィジカルは消極的なものではなく、攻めの準備になります。

最後に、「正解のメニューが一つある」という考え方の危険性を確認しました。年齢や成長段階、体力や課題が違えば、最適なトレーニングも変わります。BTAが大切にしているのは、メニューを覚えることではなく、自分の状態を判断できるようになることです。判断できるようになれば、メニューに振り回されることはなくなります。

第6章を通して伝えてきたのは、フィジカルトレーニングを難しくしているのは、知識不足よりも思い込みであるということです。誤解がある状態では、正しいことをやっていても不安が残り、思い切って取り組めません。逆に、誤解が解ければ、トレーニングはシンプルで、意味のあるものになります。

フィジカルトレーニングは、怖いものでも特別なものでもありません。正しい前提に立ち、目的と順番を理解すれば、誰にとっても再現性のある成長手段になります。この章で整理した考え方を土台に、次の章では、BTA式フィジカルトレーニングをどう継続し、どう自分のものにしていくかを扱っていきます。

誤解が外れた今こそ、本当の意味でフィジカルと向き合う準備が整いました。

平日30分でトレーニングの知識を
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本質的な内容を体系的にまとめた「BTA式フィジカルトレーニングの教科書」と、今の時期にやるべきメニューなどを配信する「BTAオンライン塾」で、平日のスキマ時間を活用しながら学んでください。

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この記事を書いた人

BTAでは「#フィジカル勝負」というスローガンを掲げ、圧倒的なフィジカルを手に入れて野球パフォーマンスを向上させることを目指して、フィジカルトレーニングを提供しています。また、BTAでは野球パフォーマンスはスキル50%、フィジカル50%という考えを大切にしており、そのうちのフィジカル50%を徹底的に鍛えるためのメニューや環境をご提供することが私たちの役割だと信じています。

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