最後に勝つためのメンタルトレーニング|フィジカルが、心を支える

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目次

はじめに

「メンタルが強い選手になれ」
野球の現場では、これまで何度となく使われてきた言葉です。しかし、この言葉ほど、意味が曖昧なまま使われているものもありません。気合が入っていることなのか、ミスを引きずらないことなのか、プレッシャーに強いことなのか。人によってイメージが違い、結局は精神論として片付けられてしまうことが多い分野です。

BTAが考える「メンタルが強い選手」とは、根性論で自分を奮い立たせる選手ではありません。
自分を信じて、迷いなくプレーできる選手
これが、この章で扱うメンタルの定義です。

そして、このメンタルは、特別な才能や気質で決まるものではありません。日々の準備、積み重ね、そして「できる確率」が高まった結果として、自然に育っていくものです。その土台として、大きな役割を果たすのがフィジカルトレーニングです。

試合で緊張する、ミスが怖くなる、思い切ってプレーできない。こうした状態は、単に心が弱いから起きているわけではありません。
・身体が思うように動くか分からない
・最後まで持つか不安
・フォームが崩れそう
こうした身体に対する不安が、心のブレーキになっているケースが非常に多いのです。

逆に言えば、身体に対する不安が減れば、メンタルは自然と安定します。これは精神論ではなく、極めて現実的な話です。フィジカルが整い、「この動きなら再現できる」「この強度でも耐えられる」という感覚があると、人は余計なことを考えなくなります。結果として、目の前のプレーに集中できるようになります。

この章のゴールは、
「メンタルをどう鍛えるか」ではありません。
フィジカルをどう整えれば、メンタルが自然に育つのかを理解することです。

メンタルだけを切り離して考えると、「気持ちの持ちよう」「考え方を変えろ」という話になりがちです。しかし、それでは再現性がありません。一方で、フィジカルを通してメンタルを捉え直すと、
・何を積み上げればいいか
・何が自信につながるのか
・なぜ本番で踏ん張れるのか
が、はっきりしてきます。

この第7章では、フィジカルとメンタルの関係を、順を追って整理していきます。
メンタルは、気合で作るものではありません。
準備の量と質によって、結果として育つものです。

フィジカルを「身体づくり」で終わらせず、「最後に勝つための土台」として捉える。その視点を持てたとき、メンタルトレーニングは特別なものではなく、日々の取り組みの延長線上にあることが分かるはずです。

メンタルは「鍛えるもの」ではなく「育つもの」

「メンタルを鍛えろ」
この言葉は、野球だけでなく多くのスポーツ現場で当たり前のように使われています。しかし、この言葉が選手に与えてきた影響を冷静に見てみると、必ずしも良い結果ばかりではありません。なぜなら、「鍛える」という言葉は、我慢や気合、無理を前提にした発想を生みやすいからです。

BTAでは、メンタルを「無理に鍛える対象」だとは考えていません。
メンタルは、努力や経験の中で自然に育っていくものです。
この考え方は、決して甘さではなく、現場で多くの選手を見てきた中で導き出された、極めて現実的な結論です。

人は、成功体験を重ねることでしか、本当の意味で自分を信じることはできません。ここで言う成功体験とは、必ずしも試合で勝つことや結果を出すことだけではありません。
・狙った動きができた
・以前より安定して動けた
・きつい状況でも身体がついてきた
こうした「できた」という実感の積み重ねが、メンタルを支える材料になります。

逆に、失敗や不安が続いている状態で、「気持ちで乗り切れ」「もっと強くなれ」と言われても、心は前向きにはなりません。根拠のない励ましは、一時的に気分を上げることはできても、再現性はありません。むしろ、「できない自分」を強く意識してしまい、余計にプレッシャーが増すこともあります。

メンタルが育つためには、「自分はできる」という感覚が必要です。そしてその感覚は、頭で考えて作るものではなく、身体を通して得られるものです。フィジカルトレーニングは、この点で非常に重要な役割を果たします。なぜなら、フィジカルの成長は、
・数値
・動きの変化
・体感
といった形で、はっきりと確認できるからです。

例えば、以前は崩れていたフォームが安定してきた、終盤でも動きが落ちにくくなった、強い出力を出しても身体が耐えられるようになった。こうした変化は、「なんとなく良くなった」ではなく、選手自身がはっきり感じ取ることができます。この実感こそが、メンタルを育てる栄養になります。

また、メンタルは「育つスピード」も人によって違います。すぐに自信を持てる選手もいれば、時間をかけて少しずつ積み上げるタイプの選手もいます。ここで重要なのは、他人と比べないことです。比較は焦りを生み、育ちかけているメンタルを壊してしまいます。

BTAが大切にしているのは、メンタルを直接いじろうとしないことです。
代わりに、
・できる確率を上げる
・再現性を高める
・準備の量を増やす
この環境を整えることで、メンタルが自然に育つ状態を作ります。

メンタルは、追い込めば強くなるものではありません。
安心できる土台の上で、成功体験を積み重ねることで、結果として強くなっていくものです。

この視点を持つと、メンタルトレーニングは特別な時間ではなくなります。日々のフィジカルトレーニングや練習の中で、すでにメンタルは育ち始めています。そのことに気づけるかどうかが、最後に勝てる選手と、そうでない選手の分かれ目になります。

フィジカルが安定すると、心も安定する

フィジカルが整ってくると、多くの選手に共通して起こる変化があります。それは、特別なメンタルトレーニングをしていなくても、自然と心が落ち着いてくるという変化です。これは偶然ではありません。フィジカルの安定とメンタルの安定は、非常に強く結びついています。

フィジカルが安定することで、まず変わるのはプレーの再現性です。フォームが毎回大きく崩れなくなり、動きのばらつきが減ります。結果として、ミスの幅が小さくなり、「最悪の結果」が起こりにくくなります。この状態は、選手にとって大きな安心材料になります。

野球における不安の多くは、「失敗そのもの」よりも、「どんな失敗をするか分からないこと」から生まれます。
・大きく崩れるかもしれない
・身体がついてこないかもしれない
・最後まで持たないかもしれない
こうした不安は、技術よりも身体に対する不信感から生まれているケースがほとんどです。

フィジカルが安定すると、「この動きなら大きく外さない」「この強度でも身体は耐えられる」という感覚が得られます。これは、成功する確率が上がったというだけでなく、失敗の範囲が予測できるようになった状態とも言えます。予測できるということは、心に余裕が生まれるということです。

また、フィジカルが整ってくると、プレー中に余計な意識を割かなくて済むようになります。身体が不安定な状態では、「今の姿勢は大丈夫か」「踏ん張れているか」といったことを無意識に考えながらプレーしてしまいます。しかし、フィジカルが安定していると、身体のことを考えなくても自然に動けるようになります。その分、判断や状況把握に集中できるようになります。

この状態が、メンタルの安定につながります。
心を落ち着かせようと意識しなくても、身体が勝手に安心材料を提供してくれるのです。

特に試合の中盤から終盤にかけて、この差ははっきり表れます。フィジカルが不十分な選手は、疲労とともに動きが乱れ、それを自覚した瞬間から不安が増します。不安が増すと動きはさらに硬くなり、悪循環に入ります。一方で、フィジカルが整っている選手は、「まだ動ける」「踏ん張れる」という感覚を持ったままプレーを続けられます。この感覚が、最後まで集中力を保つ土台になります。

ここで重要なのは、メンタルを「保とう」としていない点です。フィジカルが安定している選手は、心をコントロールしようとはしていません。身体の感覚が安定しているため、自然と心も落ち着いているのです。これは、精神的に強いというより、構造的に安定している状態と言えます。

フィジカルの安定は、単に筋力があることではありません。
・姿勢が崩れにくい
・出力をコントロールできる
・疲れても動きの質が大きく落ちない
こうした要素がそろって初めて、「安心して動ける身体」になります。

心の安定を求めるなら、まず身体を安定させること。これは遠回りに見えて、実は最も確実な方法です。メンタルを直接いじらなくても、フィジカルが整えば、心は自然とついてきます。

自信は「根拠」から生まれる

試合前や大事な場面で、「自信を持っていけ」「強気でいけ」と声をかけられることは少なくありません。しかし、その言葉を真正面から受け取っても、実際に自信が湧いてくる選手は多くありません。なぜなら、自信は気合や言い聞かせで生まれるものではないからです。

本当の自信とは、
・気持ちを無理に高めること
・ポジティブな言葉を繰り返すこと
ではありません。
「これだけ準備してきた」「ここまではできている」という事実の積み重ねが、自信の正体です。自信とは感情ではなく、判断です。自分の過去の行動や積み上げを振り返ったときに、「大丈夫だ」と判断できる材料があるかどうか。その差が、プレーの質に直結します。

この点で、フィジカルトレーニングは非常に大きな役割を果たします。なぜなら、フィジカルの成長は「見える」「測れる」「感じられる」形で残るからです。
・扱える重量が増えた
・動きが安定してきた
・疲れにくくなった
・以前より楽に出力が出せるようになった
こうした変化は、曖昧な感覚ではなく、明確な事実として積み上がっていきます。

技術練習や試合の結果は、どうしても相手や状況に左右されます。良い準備をしていても結果が出ない日もあります。しかし、フィジカルトレーニングは、正しく取り組めば裏切りにくい分野です。やった分だけ、少しずつでも確実に変化が現れます。この「裏切られにくさ」が、自信の根拠を作るうえで非常に重要です。

また、フィジカルの自信は「最悪の状況」を想定したときにも支えになります。
・調子が完璧でなくても動ける
・きつい場面でも踏ん張れる
・多少崩れても立て直せる
こうした感覚があると、プレーに過度な恐怖心を持たなくなります。完璧を求めなくていい、という安心感が生まれるのです。

逆に、準備が足りていないと、自信は簡単に崩れます。ミスを一つしただけで、「やっぱりダメかもしれない」という不安が頭をよぎります。これはメンタルが弱いからではなく、支えになる根拠が不足しているだけです。根拠がなければ、どんなに前向きな言葉をかけられても、心は揺れ続けます。

BTAでは、自信を作るために「自信を持て」とは言いません。代わりに、
・準備の量を増やす
・再現性を高める
・できる確率を上げる
この3つを積み上げることを重視します。これらが積み重なった結果として、自信は自然に生まれます。

自信とは、特別な才能ではありません。
積み上げた事実を、自分で認識できている状態です。
フィジカルトレーニングは、その事実を作りやすく、確認しやすい手段です。だからこそ、最後に勝つ選手ほど、地道なフィジカルの積み重ねを大切にしています。

苦しいときに踏ん張れる理由

試合の終盤、流れが悪いとき、プレッシャーがかかる場面。そこで踏ん張れる選手と、そうでない選手の差は、技術や戦術だけでは説明できません。フォームや理論を同じように理解していても、結果に差が出る場面があります。その違いを生む大きな要素が、身体に対する余裕があるかどうかです。

苦しい場面で人は、意志の力だけで踏ん張っているわけではありません。
「まだ身体が動く」
「ここまでやってきたから大丈夫」
このような感覚があるかどうかが、行動を左右します。この感覚は、頭で作るものではなく、身体の状態から自然に生まれるものです。

フィジカルが不足している状態では、試合が進むにつれて疲労が蓄積し、動きが重くなっていきます。その変化を自分で感じ取った瞬間、心は一気に不安定になります。「次も同じ動きができるだろうか」「力が入らなくなってきた」という思考が入り込み、プレーに迷いが生まれます。迷いが生じた状態では、どんなに高い技術を持っていても、本来の力を発揮することはできません。

一方で、フィジカルが整っている選手は、同じように疲労を感じていても、身体の感覚が大きく崩れません。
・動きのリズムが保たれている
・姿勢が大きく崩れない
・出力をコントロールできている
こうした状態が続くと、「まだいける」という感覚が生まれます。この感覚が、心の余裕につながります。

重要なのは、余裕があるから踏ん張れるのではなく、踏ん張れる状態が余裕を生むという点です。フィジカルが支えになっていると、プレー中に自分を疑う時間が減ります。その結果、判断が速くなり、思い切ったプレーができるようになります。

終盤に強い選手は、決して常に楽をしているわけではありません。むしろ、身体的にはきつい状況に置かれていることも多いです。それでも踏ん張れるのは、「きつい中でも動ける状態」を何度も経験してきているからです。フィジカルトレーニングで、
・疲労がある状態での安定性
・出力を落とさずに動く感覚
・崩れそうになっても立て直せる感覚
を積み重ねてきた結果、苦しい場面でも身体が反応してくれます。

ここで重要なのは、「気合で耐える」のではないという点です。気合は一時的には役立ちますが、再現性がありません。フィジカルによって作られた踏ん張りは、再現できる強さです。だからこそ、終盤でも安定したプレーが可能になります。

また、「身体がまだ動く」という感覚は、プレー選択にも影響します。余裕がある選手は、無理なプレーを選ばず、最適な判断ができます。逆に、身体が限界に近いと感じている選手は、視野が狭くなり、リスクの高い選択をしてしまうことがあります。ここにも、フィジカルとメンタルの密接な関係が表れます。

苦しいときに踏ん張れる理由は、精神力の差ではありません。
身体が、その状況に耐えられる準備ができているかどうかです。
フィジカルが整っていれば、苦しい場面でも心は折れにくくなります。踏ん張りは、意志ではなく、準備から生まれます。

フィジカルは「逃げ道」をなくす

試合で結果が出なかったとき、人は無意識のうちに理由を探します。
「今日は調子が悪かった」
「練習が足りなかったかもしれない」
「準備が不十分だった」
こうした考え自体は自然なものですが、ここに**自分でも分かっている“やり残し”**があると、心は一気に弱くなります。

フィジカルトレーニングを十分に行っていない状態では、この「逃げ道」が生まれやすくなります。
・もっと身体を作っておけばよかった
・きついトレーニングから逃げてきた
・本当は不安だった
こうした思いが、プレー中や結果後に頭をよぎります。この状態では、結果に真正面から向き合うことができません。なぜなら、自分自身が「準備不足だったこと」を一番よく分かっているからです。

一方で、やるべきフィジカルトレーニングを積み上げてきた選手は、状況がまったく違います。結果が良くても悪くても、
「やれることはやった」
「準備はしてきた」
この感覚があります。この感覚があると、結果に対して必要以上に感情が揺れなくなります。勝ったときは冷静に振り返り、負けたときも前向きに次へつなげることができます。

フィジカルは、言い訳を封じる役割を持っています。
これは精神論ではありません。フィジカルトレーニングは、
・やった量
・かけた時間
・積み上げた負荷
が、非常に分かりやすい形で残ります。だからこそ、「やっていない自分」を誤魔化すことができません。同時に、「やってきた自分」も、はっきり認識できます。

この「逃げ道がない状態」は、プレー中にも大きな影響を与えます。迷いが減り、判断が速くなります。失敗を恐れて縮こまるよりも、「今できるベストを出そう」という意識に切り替えやすくなります。なぜなら、失敗しても「準備不足だった」という後悔が残らないからです。

また、フィジカルは自分との約束でもあります。
「今日やると決めたことをやった」
「きつい中でも続けてきた」
こうした自己との約束を守ってきた経験は、試合という不確実な場面で大きな支えになります。他人の評価や結果がどうであれ、自分が積み上げてきた事実は揺らぎません。

逆に、フィジカルから逃げてきた選手ほど、結果への執着が強くなります。結果が出なければ、自分の価値が否定されるように感じてしまうからです。しかし、準備が十分であれば、結果は「通過点」に変わります。良い結果も悪い結果も、次の成長につなげる材料として扱えるようになります。

フィジカルは、心を強くするための魔法ではありません。
逃げ道を一つずつ塞ぎ、覚悟を作るための現実的な手段です。
逃げ道がなくなったとき、人は初めて、目の前のプレーに集中できます。

「やるべきことをやった」という感覚は、プレーを軽くします。
迷いを減らし、恐れを減らし、前に進む力を与えます。
それが、フィジカルがメンタルを支える、最も分かりやすい形です。

保護者・指導者にできること

メンタルを語るとき、どうしても「本人の問題」として扱われがちですが、実際には周囲の関わり方がメンタルの育ち方を大きく左右します。特に、保護者や指導者の言葉、評価の基準、日常的な姿勢は、選手の心の土台を形づくる重要な要素です。

まず大切なのは、「結果だけを評価しないこと」です。勝ったか負けたか、ヒットを打ったか打たなかったか、抑えたか打たれたか。結果は分かりやすく、評価しやすい指標ですが、結果だけで判断され続けると、選手は「失敗=否定」と感じやすくなります。すると、挑戦すること自体を避けるようになり、メンタルは守りに入ってしまいます。

BTAが重視しているのは、取り組み・継続・成長の過程です。
・決めたトレーニングを続けているか
・以前より安定して動けるようになっているか
・きつい中でもやり切ろうとしているか
こうした要素は、結果が出ない日でも確認できます。ここを評価されると、選手は「やるべきことをやっていれば大丈夫だ」と感じられるようになります。

フィジカルトレーニングは、この評価軸を作りやすい分野でもあります。なぜなら、努力の量や変化が比較的見えやすいからです。記録、動き、姿勢、継続。これらは、結果とは切り離して認めることができます。保護者や指導者がここに目を向けることで、選手は安心して挑戦できるようになります。

また、過度な精神論を押し付けないことも重要です。「気持ちが弱い」「覚悟が足りない」といった言葉は、選手を追い込むようでいて、実際には行動の指針を与えていません。代わりに、「準備はどうだったか」「身体の状態はどう感じていたか」といった問いかけをすることで、選手自身が自分を振り返るきっかけを作ることができます。

指導者にとって特に大切なのは、安心できる基準を示すことです。今日はどこを評価するのか、何ができていれば合格なのか。その基準が曖昧だと、選手は常に不安を抱えます。フィジカル面では、「今日はこの動きができていればOK」「この強度をやり切れれば十分」といった具体的な基準を示すことで、選手は目の前の課題に集中できます。

保護者の立場では、「見守る姿勢」も重要になります。つい結果や数字に目が向きがちですが、日々の取り組みを淡々と続けていること自体が、メンタルの成長につながっています。過度なアドバイスや比較を避け、「続けていること」を認めるだけでも、選手の心は安定します。

メンタルは、言葉で直接いじるものではありません。
安心できる環境と、納得できる評価の中で、自然に育つものです。
フィジカルを通じて積み上げた努力を、周囲が正しく受け止めることで、選手は自分を信じてプレーできるようになります。

第7章のまとめ

第7章では、「最後に勝つためのメンタルトレーニング」というテーマのもと、メンタルを精神論として扱うのではなく、フィジカルとの関係性から現実的に捉え直すことを目的としてきました。この章を通して一貫して伝えてきたのは、メンタルは気合や根性で無理に鍛えるものではなく、正しい準備と積み重ねの中で自然に育つものだという考え方です。

まず確認したのは、「メンタルが強い選手」とはどういう選手か、という点です。BTAが考えるメンタルの強さとは、感情を無理に高められることでも、プレッシャーを無視できることでもありません。自分を信じて、迷いなくプレーできる状態。これこそが、本当に強いメンタルの正体です。そしてその状態は、特別な才能ではなく、再現性のある準備によって作ることができます。

その準備の中心にあるのが、フィジカルトレーニングです。メンタルは「鍛えるもの」ではなく、「育つもの」であり、その成長には成功体験の積み重ねが不可欠です。フィジカルは、数値、動き、体感といった形で成長を実感しやすく、「できている」という根拠を与えてくれます。この根拠があるからこそ、選手は自分を信じられるようになります。

また、フィジカルが安定すると、心も自然と安定するという関係性についても整理しました。フォームの再現性が上がり、ミスの幅が小さくなり、「できる確率」が高まることで、不安や迷いは減っていきます。これはメンタルを意識してコントロールしているのではなく、身体が安心材料を提供してくれている状態です。心の安定は、身体の安定の延長線上にあります。

自信についても、「気持ちを奮い立たせるもの」ではなく、「準備の量と質から生まれる判断」であることを確認しました。フィジカルを積み上げてきた選手ほど、「最悪の状態でもこれくらいはできる」という感覚を持っています。この感覚があるからこそ、試合の中で必要以上に怖がらず、思い切ったプレーができます。

苦しい場面で踏ん張れる理由も、精神力の差ではありません。終盤に強い選手は、身体がその状況に耐えられる準備をしてきただけです。「まだ動く」「まだ出せる」という身体感覚が、心の余裕を生み、結果として集中力や判断力を支えます。踏ん張りは意志ではなく、準備の結果です。

さらに、フィジカルは「逃げ道」をなくす役割も果たします。やるべき準備をやり切ったという感覚があると、結果に対して前向きに向き合えるようになります。言い訳や後悔が減り、勝っても負けても次に進める。この姿勢こそが、長く成長し続ける選手の共通点です。

最後に、保護者・指導者の関わり方についても触れました。メンタルは本人だけで育つものではありません。結果だけで評価せず、取り組みや継続、成長の過程を認めること。フィジカルという「努力が見えやすい分野」を評価軸として使うことで、選手は安心して挑戦できるようになります。

第7章を通して伝えたかったのは、メンタルを特別視しないことです。
フィジカルを整え、準備を積み重ね、できる確率を上げる。
その結果として、心は自然に強くなります。

フィジカルは、身体を強くするためだけのものではありません。
最後に勝つために、心を支える土台です。
ここまで積み上げてきた考え方を、自分の取り組みに落とし込み、継続していくことで、本当にブレないメンタルが育っていきます。

この教科書の締めくくりとして、もう一度伝えたいのは、「準備は裏切らない」ということです。フィジカルを通して積み上げた準備は、必ず心の支えになります。最後に勝つ選手は、偶然ではなく、準備によって作られているのです。

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この記事を書いた人

BTAでは「#フィジカル勝負」というスローガンを掲げ、圧倒的なフィジカルを手に入れて野球パフォーマンスを向上させることを目指して、フィジカルトレーニングを提供しています。また、BTAでは野球パフォーマンスはスキル50%、フィジカル50%という考えを大切にしており、そのうちのフィジカル50%を徹底的に鍛えるためのメニューや環境をご提供することが私たちの役割だと信じています。

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